人気ブログランキング | 話題のタグを見る

seasoned with salt lastsalt.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

coolでhot 大真面目に遊び半分 それがいつでも上機嫌になれる塩加減


by lastsalt

痴と強要


痴と強要_a0208786_10371017.png


安倍さんは5月6日のOECD閣僚理事会基調演説でこう語っている。「私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています」

大学に市場原理を導入し、社会的実用性の乏しい分野(すぐにカネをうまない学問)を切り捨てていく流れが加速している。10年前、「国立大学」は設置形態が変更により、国立大学法人という独立行政法人となった。おもて向きは「大学の自主性を高め柔軟な教育研究をすすめるため」などと謳われているが、結局は国からの運営費に頼らざるを得ない財政構造になっている。国の方針に逆らうことは難しい。

国立大学から文系学部が消えていく恐れがある。特に文学部などの存在価値は国の評価ではゼロに近い。また、小中学校でも音楽や図工美術などの情操を養う大切な教科の標準時間が大幅に削減されて久しい。さらに他教科を押しのけて外国語(要するに米語)が割り込んできた。さらには、公立小学校の35人学級を40人学級に戻そうという動きもあるという。文科省は反対しているが財務省が財布を締めようとしている。

安倍さんは自分が学術研究しなかったのは自業自得だが、人が学ぶ権利まで奪うのはやり過ぎだ。彼は学問というものをいったい何だとお考えなのか?先人達の知的財産を継承し発展させる大学の機能をアベノミクスというママゴトの道具にするとは傲慢の極み。

本当の豊かさとは、モノがいっぱいあることでもお金がまわることでもない。実用性や即効性の乏しい教養がたくさんあること。そうした使う頻度の低い無駄を抱えて生きることだ。またどうでもいいような小さなこだわりを誰かと分かち合い、新しいものの見方やこれまで気づかなかった新たな価値を共有し、それを味わい楽しむことだ。難しい状況を分析しことばにし相対化する力や、悲しみや痛みをユーモアにする力があれば、苦しいときも笑顔になれる心のゆとりが生まれる。ホンモノの知恵があれば、問題解決への道筋とそれにむかって正しい手続きで手をたずざえる友を見出す。幅広い学問や深い探求は遊びとリンクし、あくまでも結果として、期待しなかった恩恵を社会にもたらすのが健全だと私は思う。
by lastsalt | 2014-11-01 10:46