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by lastsalt

ぼくの一番の思い出は・・・・


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最後の授業では、「あゆみ」(通知表)を渡す前に全員にひとことずつ話してもらった。私は学期のはじめも、おわりも子どもたちに話をさせる。みんなそれぞれに一年間の一番の思い出を語ってくれた。泳げるようになったこと、二重跳びができるようになったこと、一輪車に乗れる様になったこと、遠足に行ったこと等々。

二列目の一番後ろに座っていた男の子が、いつになく真面目な顔で、「ぼくは思い出じゃくて、先生に御礼が言いたい」と改まったあいさつをしてくれたのでちょっとびっくりした。一時期は何を言っても全くことばが届かないように思えた子だ。彼は人生初のスランプに陥ってあがいていたのだが、ようやく立ち直ったのだ。

時に、子どもたちは、こんな思いがけないドラマを見せてくれる。おませな女の子の中にはあいさつが終わると手紙を渡してくれたり、涙ぐみながら別れを惜しんだりしてくれた。このあたりまでの展開はまあ予想の範囲だったが、大きなドラマはその後おこる。教室の一番真ん中に座っている男の子が、「ぼくの一番の思い出は・・・」といったところで、口ごもって止まったしまったから大変だ。後ろから前から視線が集まった。「ぼくの・・・一番の・・・思い出は・・・・Salt先生が担任の先生だったことです」ようやく途切れ途切れに頑張ってそれだけ言い終わると、机の上に伏せて泣き始めたのだ。「おい、ホンマに泣いてんで」「大丈夫か?」とわんぱくやおてんばたちが駆け寄る。いつもだったらここで収拾がつかなくなるが、ひとさわぎしてきちんと着席できたから偉い。

まるで回っているカメラでも意識しているかのように、(もちろん、そんなものはないが・・・)妙に台詞めいたことを言い始める子が増える。何を言えばいいのかわからずパスする子や、「自分も言わなきゃ」と御礼のことばを付け足す子もいて面白かった。結局、その子はみんな発表が終わるまでずっと顔を伏せていた。真面目な手のかからない男の子で、「この子のために私は何をしてやれただろうか」と思うと恥ずかしい限りだ。でも、何かがこの子の心の中に残ったのであれば、それは本当に嬉しいことだと思う。

大変な一年だった。決して思ったようにことは運ばなかったが、どんなに頑張ろうがたぶんこれ以上どうにも出来なかったと思うので言い訳のしようはない。しかし、今日の子どもたちの様子を見ていると、私が思ってるよりはもう少しマシなイメージで自分たちの日々を振り返っていたのは間違いなさそうだ。
by lastsalt | 2014-03-25 01:11