私は絵を教えるのが下手だ。
自分で描くのと誰かに描かせるのは違う。小学校には独特のいろんな描かせ方があり、そういうメソッドは大嫌いで、これまでもずっと抵抗してきた。かといって課題だけ与えて放っておいてまともな作品ができるはずもない。
十分な準備や時間のゆとりがないところで満足のいく創作など出来るはずもなく、多くの場合は、中途半端な内容で終わる。元から絵心も美意識もない教員に指導され、高学年になる頃にはすっかりやる気を失っている子もいる。
図工だけ教えていた時も、様々な試みをしかけてみたが、「こりゃ、図工の時間だけじゃダメだな」と思ったものだ。
しかし、同じ子どもたちを担任して3年目。いろんな学習の中で、しっかり観察したり、話を聴いたり、じっくり考えたりできる場面が増えてきたことに伴い、子どもたちの表現が少しずつ変わって来たように思う。
社会の歴史学習では、これでもかというくらい浮世絵を見せた。それで、「遠近法を効果的に使おう」というねらいを提示。
理科主任の特権を利用して骨格モデルを新たに6体取り寄せ、グループごとに触らせた。それで、「関節を描こう」というふたつめのねらいを提示。
こちらが指導したことが、少しは画面に反映されるようになった。子どもたちの可能性を信じてあきらめずに指導してきた甲斐があったな・・・と、子どもたちの作品を眺めながらしみじみ感じた。