中東の狂犬と言われたカダフィ大佐が亡くなった。
多くの日本人はカダフィのリビア国内での政治を知ることもなく、アメリカ発の情報操作を鵜呑みにしている。1969年以降、40年以上もリビアという多民族国家をいかにして長期的に安定させてきたかについて、少しでも覚めた頭で考えてみてはいかがか?コロコロコロ首相が代わり、挙句にドジョウまで出てくる植民地国家ではそれは難しいかも知れない。
カダフィ大佐は「強健」な人物で「強権」を行使したが、決して「狂犬」の類ではない。ニッポンの首相はアメリカの犬だが、そんな飼い主に従順な犬であることを毅然と拒むことによって「狂犬」という称号を得たのである。リビアでは石油産業を国有化した利益を国民の教育や医療の充実に当ててすべて無料。しかも、リビアの女性は他のアラブ諸国より圧倒的に自由が保証されており、高等教育の奨学金制度も女性の利用者が多く、高い社会的地位についたりしている。アメリカとソ連との「冷戦」の狭間で、そのどちらでもない第3の道を模索し、高福祉国家を実現した功績について少しは語られてもおかしくはない。
私は別にこの独裁者を少しも褒めるつもりはないが、無批判に「中東に春が来た」「民主化はけっこうなことだ」などと思っているとしたら、断じてそれは違いますよと言いたいだけだ。
旧約聖書エゼキエルの預言によれば、リビアはイランやエチオピアとともにロシアとの関係性を深める展開になるはずだ。