政治家や役人が答弁で「記憶にない」と言うのは、もちろんはっきり記憶しているからこそ言えることばである。
正しく翻訳するなら、「覚えていることがらを正直に言うとまずいことになるし、記憶とは違うことをいうと全て嘘になるので、忘れたことにしてください。そして、出来れば今日のこの答弁も含めて、むしろ皆さんの記憶から消去して下さい」という意味だ。
それを聴いた人たちはやがて馬鹿馬鹿しくなって忘れ去ったとしても、公に嘘をついた当人はまず忘れることは出来ない。そして、その嘘を取り繕うためにつかなくてもいい嘘をさらにたくさんつかなければならず、ますます不誠実で陰険な人間になっていくのである。