人を食ったような反芸術的な芸術作品で、芸術の本質を問い続けた赤瀬川原平氏が亡くなった
芥川賞作家でもあり、「老人力」などのことばも流行語となったりもして話題になったが、裁判沙汰になった紙幣を使った作品をまず思い出される方も多いだろう。私もつい最近、滋賀の近代美術館で作品を見たばかり。
私が一番好きなのは、町の中で無用の長物を発見してはその中に味わいを見出し、「トマソン」と名付けて紹介し作品化したもの。この白黒写真はトマソン第1号で、たしか「純粋階段」とか何とかふざけた名前がつけられていたと思う。ちなみに「トマソン」とはジャイアンツでほとんど活躍しなかった助っ人の名前が由来となったもの。ダダやシュールレアリズムの流行にのった亜流作家や作品は世界中に蔓延したが、この人のふざけっぷりはハンパではない。
確かに芸術はトマソンだ。電気屋さんに「Saltさんは器用にいろんなものを作るけど、実用性のないものばっかり」と言われたのを思い出す。