可愛くないアイドルに、面白くないお笑いに、ワンパターンなバラエティー、こけおどしのプロットに薄っぺらな物語。時々画面に現れる地震速報のテロップだけがわずかにリアル。
TVよりはネットがまだマシかと繋いではいるが、ブログを彩るどうでもいいような身の上話や、人を嘲るゴシップや、「これが真実だ」という嘘ばかり。
新聞を開けば、当たり障りがないけれど偏った記事と不必要な消費を煽る大量の広告の山。静かな午後のひとときに水を差すのは、儲け話を持ちかける親しげな電話。
すべては、忙しいだけで退屈な毎日から生まれてくるものばかり。
ただ戦争がないという状態が平和なのか。あらゆるものと戦うことを忘れた人間に平和という価値を理解することが出来るのか。
味わいや価値がわからなくなること、本当によいものとそうではないものの違いがわからなくなることは恐ろしい。
頭や心を総占拠されてはいけない。